懐疑派blog

2004/06/29

河野洋平・日本衆議院議長

【単独インタビュー】河野洋平・日本衆議院議長(中央日報)

??日本では憲法改正の動きが活発だが。

「憲法改正を行うのなら、まず現行憲法にどんな問題があるかを具体的に議論すべきだが、今は改憲という言葉が先立ち、何のためにどこを変えるべきかという議論が不明確だ。 また初期の改憲論者は『現行憲法が(太平洋戦争敗戦後)米国の強要によって作られたため、直す必要がある』と言っていたが、最近の論者は『米国の対外政策に直ちに対応するため、(軍隊保有と戦争を禁じる)第9条を変えよう』と主張している。これではつじつまが合わない。 ただ憲法第9条には、理解しがたい点があるにはある。 実際、自衛隊は立派な軍隊だ。 ゆえに『自衛のための軍隊保有は許すべきだ』という主張も、間違った意見ではない。 だが、憲法が厳格に制約しているため、自衛隊が(規模・海外活動面で)この程度にとどまっている。 従って、自衛隊を今の程度に抑えておき、国連活動や人道支援の2つの条件に限って自衛隊の海外派遣を許可するのが良い」??。

??日本がミサイル防衛(MD)システムの導入を決めるなど、軍備を強化している。 また米国は海外米軍の再配置で、韓国より日本を重視している。 こうした日本の軍事力強化が、北東アジアに緊張を呼び起こすとの懸念もあるが。

「ミサイル防衛は完全な防衛システムだというが、相手はそれを跳び越える攻撃システムを作るだろうから、結局軍費の拡大を招くことになる。 軍費の拡大は、経済に負担を与える。 在外米軍の再編成と在日米軍の強化は、米国の全体的構図で議論していく必要があるが、米国も十分な説明をする必要がある。 だが何よりも、韓国、日本、米国が力よりも外交によって問題を解決するよう、さらなる努力を行わなければならない。 外交は単なる対話ではない。 外交交渉には、取引が非常に重要だ」??。

??小泉純一郎首相の靖国神社参拝で、中日関係が必ずしも順調とは言えないようだが。

「日本にとって、アジア外交は最重要だ。 アジア諸国は、互いに異なる経済的、文化的環境の中でも、ひとつになろうと努力している。 そうした努力が実るために、北東アジア諸国の指導者が一層力を合わせ、政治の安定と経済の発展をなし得るよう、努力しなければならない。 小泉首相は『二度と戦争が起きてはならない』ことを確認するため参拝すると言うが、それが結果としてアジアの平和や安定の障害となるなら、参拝を不快と感じる人々の心をもっと考えるべきだ」??。

??今年4月、韓国の総選挙の結果、議員の世代が大幅に交代した。 金鍾泌(キム・ジョンピル)前議員ら韓日議員外交を導いてきた政治家も多くが落選し、韓日議員外交が新時代を迎えたが。

「これまでの韓日議員外交は、日本語によって行われてきた。しかしその時代が終わり、新時代が開いた。 日本でも若い議員が増えており、両国の若い議員が英語で対話する外交が始まるだろう。 ただ(日本の)若い議員は、それほど歴史に縛られずものを語る。 しかし歴史を無視、軽視すれば、最後には問題となるだろう。 彼らは、韓国などアジアの歴史を学ぶべきだ。 また韓国の一部の若い政治家が、米国に非常に批判的であるのも心配だ。 数人に会ったことがあるが、以前の政治家とは意見が異なり、率直であるがやや過激な発言をすると感じた。 だが日本の若い政治家は、米国に対し親近感を持っている。 両国の若い政治家が、世界に対し広い見解を持ち、米国、ヨーロッパ、中国、日本、韓国の役割と立場を互いに認めあい、理解することが非常に大切だ」??。

??韓日間の民間交流が大きく増えたが、韓国では中国ブームも大きい。

「韓日交流は、政治家、経済人、学者のみだけでなく『草の根交流』によって広がりつつある。非常に良い傾向だ。今後、日本各地に国際空港が増えれば、さらに活発化するだろう。 しかし両国は、相手国への訪問だけに満足してはならない。 (ワールドカップ共同開催のように)両国がひとつとなり、何かを成していくことが大切だ。 韓国の中国ブームは、不思議なことではない。 米国も、最も熱中する所が中国だ。 日中関係がさらに深まってほしいと思う。 だがより大切なのは、韓国、日本、中国、北朝鮮の北東アジア諸国が、互いに協力し、発展できる基本枠を作ることだ。 北朝鮮核問題の解決後、『4カ国(韓、日、中、北朝鮮)+2国(米国、ロシア)』の6カ国協議の枠組を維持していくのも、方法のひとつだ。 基本枠づくりのため、最も粘り強く努力すべき国は日本だ。 歴史の問題があるためだ。 日本はこの枠組を作る時、歴史の問題を正しく認め、認識すべきだ。 日本は最近、韓国と中国に対し、首脳会談を定期的に行おうと提案した。 悪いことではないが、日本はまず歴史認識に対する国内問題を整理し、新たな認識を持つべきだ」??。

新BIS規制 リスク管理の徹底はかれ

新BIS規制 リスク管理の徹底はかれ(産経新聞)

 国際決済銀行(BIS)が銀行の新たな自己資本比率規制(BIS規制)を決めた。融資など資産の質の優劣が正確に反映される算出方法に改める。銀行はリスク管理の一段の強化が必要だ。

 自己資本比率は、銀行が持っている資産に対する自己資本の割合を示す。計算の際には貸出金などの危険度に応じ掛け目(リスクウエート)を乗じた「リスク資産」を分母にする。

 今回の変更では掛け目を見直し、より実態に即した銀行の経営体力が測れるような国際ルールに改めた。例えば従来は企業向け融資の全額をリスク資産に算入していたが、新たな規制では不良債権処理を進めるほど資産が圧縮される。その分、自己資本比率が高くなり、貸し出し余力が増す。

 また、大企業向けに比べ中小企業や個人向け融資のリスクウエートを軽くし、銀行の貸し渋り、貸しはがしを防ぐ。コンピューター障害や職員の不正行為、事務的ミスなどへの自己資本による備えも新たに加える。

 現行のルールだと自己資本比率を引き上げるには、増資か貸し出しを抑制するしか手がなかった。しかし、二〇〇六年末から段階的に導入される新規制は、銀行の経営努力が自己資本比率の改善につながる仕組みだ。

 国際業務を営む銀行に「8%以上」の自己資本比率を課す現行基準は変わらないが、新規制を機に金利収入に頼ってきた日本の銀行はリスク管理と営業の両面で改革を迫られる。

 主要行は一昨年秋の金融再生プログラムに沿って資産の洗い直し、不良債権処理の加速が最優先課題だ。さらには個人取引(リテール)や貸出資産を増やさずに収益を拡大させる業務の強化を急がなければならない。

 企業の合併・買収(M&A)や企業資産の証券化、協調融資のとりまとめなど手数料収入が柱になる投資銀行業務の拡大が不可欠だろう。

 監督当局の役割も重要である。銀行が不良債権処理で納めた税金が将来に還付されるのを見込む「繰り延べ税金資産」について金融庁は、自己資本への算入割合を段階的に下げていく考えだが、これだけでは不十分だ。

 自己資本の質の向上に算入規制を課す一方、無税償却の拡充などで金融再生を後押しすべきである。

2004/06/28

小沢・剛腕 6・25

多国籍軍参加が取りざたされている自衛隊のイラク派遣についても、ウソとゴマかしばかりだ。

小泉政権は「武力行使と一体化しない。後方支援と人道復興支援だけ」「北朝鮮の脅威もあり日米同盟は大切」などと説明したが、これがおかしい。

戦争では、戦闘部隊も重要だが、武器や弾丸、食料などを輸送する後方支援、軍事用語でいう兵たん部隊の存在がさらに重要になる。太平洋戦争で日本人は350万人が死亡したが、兵たん戦で敗れて犠牲となった者は驚くほど多い。「後方支援は武力行使と一体化しない」という理屈のウソがここにある。

日米同盟の説明にしても、ブッシュ米大統領が小泉首相に「サンキュー」と言っているのは、国内外で政治的に追い詰められているから。

「自衛隊は戦闘行為に参加しない。危なくなったら撤退する」と首相が公言するような国のために、将来、北朝鮮絡みの軍事的混乱が発生したとしても、本気で米国の若者たちが血を流すだろうか。

国際貢献

 参院選を前に自衛隊のイラク多国籍軍参加の是非をめぐって高まる議論のさなかに、国際協力銀行がアジア各国の現地通貨建て債券の起債を支援するという地味なニュースが最近日本経済新聞に載った。この2つは実は「日本の国際貢献」という意味でつながる。国際貢献論議は80年代の黒字還流政策から始まり、90年代はアジア通貨危機をきっかけに「円の国際化」の推進論が高まったが、円国際化は絵に描いた餅に終わった。アジア各国が利用できる円建て市場を整備できない代わりが上記のアジア起債支援策である。

 もうひとつ貢献の流れは「カネから武へ」である。90年代初めの湾岸戦争時の日本の貢献が資金中心のために評価されなかった外交上の挫折を経て、今回はブッシュ政権への配慮からしゃにむに自衛隊の現地派遣へと突き進んだ。つまり経済面での国際貢献は忘れてしまい、「武」が「経済」を飛び越した観がある。

 一体日本は、対中東で地政学的戦略を展開し戦いを繰り返してきた米欧に対し、「復興支援」という大義だけでどんな国益または外交上の成果を挙げられるのか。

 日本が戦後営々と築いてきた経済貢献路線とは何だったのか。日本の今や最大の収益センターとなったアジア経済の安定で、日本はどんな役割を果たすのか。

2004/06/27

岩見隆夫

岩見隆夫「近聞遠見:年金は「最大争点」ではない」


 5党の党首は口をそろえて、参院選最大の争点は、

 「年金だ」

 と言うが、そうだろうか。

 有権者は当然のことながら年金問題に強い関心を寄せている。だから政党側も争点の中心に据えて訴えようとする。

 そこまではいいが、争点になっているかどうかは、有権者がこのテーマで政党を選択できるか、にかかっている。争点化の成熟具合だ。

 先の通常国会の論戦、党首討論会の発言、遊説第一声などを聞いてきた総合評価では、およそ政策争点になりえていない。ボクシングにたとえれば、試合前のジャブか場外乱闘か。

 第一声で、小泉純一郎首相は、

 「年金は40年、50年、60年続いていかなければならない。だから与野党を超えて、政権が交代しても維持できる制度を作らなければなりません」

 と訴え、民主党の岡田克也代表は、

 「年金制度の改悪を阻止して、本当の意味の抜本改革をやることです」

 と言うのだ。ほかの党も似たようなものである。ご趣旨はもっともだが、これで政党の選択ができるはずがない。

 党首討論会も、政策論争ではなく、今後の議論のやり方をめぐる応酬ばかりで、歯がゆかった。与野党協議の進め方をどうするか。

 「各党が方向性を決めずに議論しても先送りになるだけだ」

 と岡田が言えば、小泉が、

 「前もって方向性を決めると、議論がやりにくくなる」

 と反論する。小学生的な次元で、話にならない。小泉は方向性を出すのを忌避しているみたいにも聞こえる。

 年金目的消費税の導入問題もそうだ。在任中は消費税を上げない、と明言している小泉に、それでは議論が制約される、と問うと、小泉は、

 「議論は大歓迎。しかし、このなかで、2年の(私の任期の)間に消費税を上げると言える人がいたら、手を挙げていただきたい。そんなばかげた党首はいないと思う」

 と論点をずらしていく。目的消費税の是非には触れようとしない。一元化問題も、小泉は

 「一元化を含む社会保障全体のあり方を協議し……」

 とぼかす。議論とか協議とか、そんな単語を何百回聞いても、何の参考にもならない。

 第1党がこの調子だから、各党の議論も熟していかない。わかりにくいこと甚だしく、有権者は確実に迷う。年金は××党、と自信をもって選択できる有権者はまずいない。

 わかりやすい主張がないわけではないのだ。たとえば自民党の政策通、野田毅元自治相の新著「消費税が日本を救う??年金、財政、経済問題、これで一気に解決する」(04年2月刊・PHP研究所)をみると、

 <基礎年金、老人医療、介護の社会保障基礎3分野と少子化対策を加え、必要な国費年間13・4兆円(03年度当初予算ベース)に消費税を充て、税率を当面8%に引き上げる。10年後は15%、少子高齢化のピーク時は20%を想定している>

 と提言している。これが最善の策かどうかはともかく、わかりやすい。具体的な政策として賛否の対象になりうる。

 野田は、

 <小泉さんが「私の内閣の間は消費税は上げません」と言ってしまったために、最も核心に触れる部分に踏み込むことを避けて議論が流れ、有効、的確な政策対応ができない。野球で言えば、ホームベースにふたをしているようなものだから、いくらヒットを打っても点が入らない>

 とも書いている。