年金改革法案
■京都新聞「気まぐれニュース考」
「どっちもどっち」という言い方は嫌いだ。ことの本質を糊塗(こと)してしまう。例えば、年金改革法案をめぐる与野党の攻防をめぐって「与党の強行採決は許せないが、野党の牛歩戦術や参院副議長の散会宣言もみっともない。どっちもどっちだねえ」などといった評言。傍目八目のしたり顔は有害無益だと思う。
<年金改革関連法>
民主党の「秘策」不発 議事与党ペースで
民主党出身の本岡昭次副議長による「散会宣告」だった。民主党の「秘策」のはずだったが、不発に終わり、それをきっかけにしてその後の議事が与党ペースで進む結果となった。
本岡副議長は5日午前4時20分すぎ、2回目の休憩を終えた本会議を再開した直後、「これにて散会を宣告します」と声を張り上げ、議長席から立ち去った。議場内の野党議員も退席した。国会法117条の「議長は、議場を整理しがたいときは、休憩を宣告し、または散会することができる」との規定を根拠にした「散会宣告」だった。
ところが、衆院ならば可能な散会が、参院ではできない仕組みになっていることを見落としていた。参院議事規則82条は「議事日程に記載した議事を終わったときは、議長は散会を宣言することができる」と定めている。つまり、議長が散会宣告できるのは議事がすべて終わった時点で、それ以外の場合は延会手続きしか取れないことを意味している。本岡氏は事務当局の静止も聞かず、同規則に反する宣告をしてしまったことになる。
民主党は正当性を訴えたが、事前に民主党の「秘策」を察知していた与党は「院の規則で散会はできないことになっている」(幹部)と受け付けない構え。参院自民党幹部は「民主党は策におぼれた。内部でもめるんじゃないか。こっちは救われた」と余裕の表情を浮かべた。(毎日新聞)
記者に「これが秘策だったのか?」と問われると、「どういう意味ですか!」と岡田克也きれる。